| 2014年の夏山 |
![]() |
7/21 谷川岳 土合駅の地下ホームは一年中気温が同じで半袖だとちょっと寒い。以前小説で読んだ462段の階段を上りクラシックな行き方で谷川岳を目指す。迷路のような古びた連絡通路を通り無人の改札へ向かう。何となく雰囲気暗い。かつて夜行列車で来てここを通りそのまま帰らぬ旅路へ逝ってしまった人、数知れないことだろう。 小雨の降る夜道を登山指導センターへ向かう。ここで仮眠をとり夜が明けぬうち出発して一ノ倉沢を見に行く。Ⅰ氏も僕もこの景色を見るのは初めてだった。聞く人によると一ノ倉の景色は上高地から見る穂高より良いとのこと。ちょうど僕らが着くころガスは晴れ谷川岳は全容を現す。ぶっちゃけ穂高よりいいということはないと思ったが、かつて多くの山の英雄を育み、また悲劇の舞台ともなった日本一の岩壁の迫力は凄まじい。小一時間して僕らが去るころ山は再び姿を隠す。単なる偶然にしては出来すぎとも思える自然の大芝居に感動せずにはいられない。 始発のロープウェイに乗り山頂を往復する。道はよく整備され多くの登山客がいた。 |
![]() |
|
8/2 中央沿線 トレーニングを兼ねて倉岳山~高柄山縦走にトライ。桂川から見るとなんだか山は大きく見え1000m以下の標高には思えなかった。出発時間は遅く気持ちで山に呑まれている感じで予定通り歩くのは怖くなってきた。立野峠と寺下峠をつなぐ稜線を歩いただけで止めてしまった。下山途中腰と右膝にピリッと痛みが走り、僅か半年前に北岳に登った同じ人間とは思えない体力の落ちようだった。 |
|
8/11 朝日連峰へ向かう 鶴岡へ 朝日連峰へのアクセスは難しい。夜行バスを使うとお盆の渋滞にハマり翌日登山口まで入れないおそれ出てくる。新幹線みたいな高くてつまらない乗り物には乗りたくないし1日潰すことに変わりない。格安レンタカーを使うと歩くコースに制約出て日数、高速、ガソリン代考えるとぜんぜん格安じゃなくなる。あれこれ考えた末今回初めて青春18きっぷを使ってみることにした。面倒だが計画する楽しみでもある。2年前飯豊の帰り野岩線と東武線を乗り継いで行ったが思ったほど大変ではなく、谷川岳でも使えⅠ氏にひと枠譲っているのでだいぶ金を浮かしたことになる。セコい計算に抜かりはない。 新宿から高崎、水上、長岡、新津で乗り換えていく。以前ヨーロッパ・アルプスでも大荷物を持ち乗り継いで行ったのでそれ思えばどってことはない。高崎のダルマ弁当は美味しかった。水上~長岡間は2両編成で座れずちょっと辛かった。イベント列車のD51が停まっていた。途中うかつにも寝過ごし新津を通過してしまったので、そのまま新潟に出て村上で乗り換え1時間遅れの20:14鶴岡に着いた。村上~鶴岡間の日本海の景色は素晴らしかった。一瞬朝日連峰やめてここで写真撮ってようか等とチラッとよぎってしまった。ウチから割と近い伊豆の海も好きだがなんか雰囲気違う。海面と国道、線路がやたら近く、日暮里あたりにありそうな昭和初期チックな木造家屋が点在している。こんなに海に近いんじゃ台風来たら一発じゃんと心配になってしまう。先程の失敗が悔まれる。海沿いを走っている途中で日が暮れてしまった。羽越本線は夏でも接続悪く冬は雪よりむしろ風でもっと悪くなるという。しょっちゅう派手に遅れたり止まったりするらしい。現在は猿轡はめられとんでもないところに連れ去られる “遭難” は皆無なのだろうか? |
![]() |
鶴岡駅到着。駅前にちょっと上等な避難小屋があった。 ここに泊ると超快適なのは分かっている・・ しかし・・ 18きっぷで浮かした金パーになる。 |
![]() |
グラグラ揺らぐココロ抑えフツーの避難小屋に泊る。 ん? 2000円? 「お盆期間はナイトパックはございません。すいません」 何? 聞~てなかったぞ・・ カツク・・ |
![]() |
しかしこの避難小屋気が利いててこ~ゆ~便利なモノも置いてある。 |
|
8/12 泡滝ダム ~ 大鳥小屋 |
![]() |
泡滝ダムまで路線バスと落合タクシーで行く。女性のタクシードライバーは雪国の苦労話をしていた。冬は日に何度か除雪車がやって来て道路の雪を蹴散らし両サイドに山盛りにして去っていく。そのままだと家のクルマが出せないのでその度ごとに住人による雪のバリケードをどかす作業が行われる。圧縮された重い雪でえらい大変な作業らしい。 |
![]() |
泡滝ダムから大鳥池まで歩く。雪国のブナの森はとても美しい。 大鳥小屋はホンモノの避難小屋で良い小屋だった。歯磨き粉を使っている家族連れがいた。注意出来ず少々情けない気持ちになった。相手が聞く聞かないは別にしてやはりカドのたたない言い方で注意すべきだろう。 |
|
8/13 大鳥小屋 ~ 以東岳 ~ 竜門小屋 |
![]() |
いよいよ憧れの朝日連峰へ向かう。直登ルートを選んだが道が悪く難儀した。大鳥池をへつって行くがいやらしいトラバースが何か所もあり、手掛かりはなく滑りやすい踏み跡が池に向かってナナメってる。しくじったらぽちゃんだ。距離の割に体力を消耗する。僕はこういう道は苦手だ。 |
![]() |
以東岳の登りは急斜面をジグザグ切らずに突き上げていく。濡れた木の根っこがナナメって何本も張り出していて、このルート、何となく鷲ノ住山~池山吊尾根に似ている。オツボ峰ルートはフツーの道だったと行った人は言っていた。失敗である。 広葉樹林の背が低くなり標高1300m超えたところで早くも森林限界になってしまう。豪雪地帯特有の偽高山帯だ。 素晴らしいパノラマ、山の斜面の景色だった。 |
![]() |
以東岳からガラガラの歩きにくい道を下る。これが一段落するころお花畑が多くなってきた。いよいよ朝日連峰の景色は本領を発揮する。夢心地のゾーンに入ってきた。 緑のじゅうたんを突っ切るように行く。登山道は広がっていない。天国よりこっちの方が綺麗なのでは? などと思ってしまうような楽園トレイルが続いている。次第に荷物の重さを感じなくなり、自分が今どこにいるのか、何者であるかさえ忘れそうになってしまう。すっかり朝日連峰にマインドコントロールかけられてしまっている。 |
![]() |
こんなのが当たり前のように出てくる。うじゃうじゃ咲いている。道にせり出して咲いているヤツ、図々しく真ん中に咲いているヤツもいる。気を付けないと踏んでしまう。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
| 左上より ハクサンイチゲ、コガネギク、ミヤマリンドウ、オヤマリンドウ 左下より チシマフウロと思うが‥ ミヤマコゴメグサ、ヒメシャジン、キタダケソウに似ているが正体不明 一応調べたがなんか違うっぽいのもある。高山植物は難しい。 |
![]() |
おおっ! 北アルプス! じゃなかった飯豊連峰! 残雪の量、素晴らしい山容はアルプスに遜色ない。飯豊にも腐るほど花は咲いていたがどちらの方が多いだろうか? 今回は準備不足で体力は☓だったが感受性は〇でカメラぶら下げペース遅延が嵩んでいく。狐穴小屋でココロは折れそうになっていたが一休みしたら治ってきた。竜門小屋まで頑張る。足が軽くなってきた。本来の山に登る体になってきたようだ。 |
![]() |
ついに大朝日岳が見えてきた。僕は以前から朝日連峰に憧れ、素晴らしいだろうと思っていたが、その上をいく素晴らしさだった。 2000mに届かない標高に先入観を持っていたのだろう。華やかで雄大な山脈だった。 |
![]() |
山小屋はどこもこじんまりした避難小屋だが清潔感ある快適な小屋だった。 小屋番のおじさんにウィスキーのお湯割りを分けてもらい山の話を聞かせてもらう。とても楽しい山の夜だった。この人は冬の北岳バットレスやエベレストにも登っているとんでもない人である。 |
|
8/14 竜門小屋 ~ 大朝日岳 ~ 鳥原小屋 |
![]() |
大鳥小屋から竜門小屋まで2人しか会わなかった。お盆の時期にしては静かすぎると思ったが、朝日鉱泉への林道が崩落のため通行止めになっているためのようだ。竜門小屋から大朝日岳はぼちぼち人は歩いていて、今までのパラダイスなビジュアル感は少し薄れたが素晴らしいことに変わりはない。大朝日小屋から頂上までは結構人がいて小寺鉱泉からのマイカー組のようだ。 |
![]() |
大朝日岳頂上付近より 月山、鳥海山、飯豊連峰、磐梯山、吾妻山、蔵王連峰等々、東北の名峰が勢ぞろいだ。 大朝日岳からはいかにも百名山チックなバシッと整備された道で、小朝日岳の登りは地図に危険マークがついているが大したことはなく頂上から主稜線のパノラマは素晴らしかった。写真撮りに時間を費やした。 |
![]() |
小朝日岳付近より 小朝日岳からの下りは問題アリだった。とても百名山の一般ルートとは思えない、稜線の左側がガレていてナナメった滑りやすいところが何か所もある。足の置き場に困るところもある。下を見ると草や低木が生えていて見た目それほどヤバく見えないところがワナで、スリップしたら草木をなぎ倒しすっ飛んで行くことだろう。運を天にまかせて行くような感じがイヤだ。 この下りは距離の割に疲れて鳥原小屋でもう一泊する。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
| 左上より タカネマツムシソウ、チングルマ、タカネナデシコ、ハクサンフウロ 左下より ミヤマキンバイ、アジサイ系と思うが・・ コウメバチソウ、ヤマハハコ |
|
8/15 下山 |
![]() |
翌未明下山して朝日鉱泉からバスでJR左沢(あてらざわ)駅まで下りる。途中昨年発生した崖崩れ現場があったが職人が足りず手が付けられないらしい。オリンピック関連の工事で職人が駆り出され思わぬところにしわ寄せがきているとのことだった。 同乗した鉱泉泊の2人(単独+単独)と話しながら行った。1人は今回で百名山達成の40~50代、もう1人は完登まであと6つの67才。40~50代の人はかなり足達者な人のようだが言うことがいちいち自慢話っぽくて鼻につく。僕はこういう話し方はキライなのである。 |
| お~しっ! 迎撃するぞ! 「私は百名山はまだ30位ですがヨーロッパ・アルプス行きました。ヤル気出せば夜行1泊2日で奥~西穂行っちゃいます。冬山もやるんですけどね・・」 この男性負けん気強い人なのか黙って去って行ってしまった。このときの後味の悪さったらない。 バカモノ! オマエはいつからこんなヤなヤツになったのか! 67才の人とは話が弾んだ。飯豊と朝日、どちらが良いかで盛り上がった。彼は残雪の豊富さで飯豊に軍配、僕は斜面や稜線のモザイクの美しさで朝日に軍配、結構マジな論戦になったがその差はごく僅かということでめでたく合意に達した。白馬~雪倉~朝日も非常に良かったという。だいぶ以前一緒に山登った人も同じことを言っていた。要チェックである。 反省・・ 自慢話はキホンやってはならない。ロクなことにならない。相手が仕掛けてきても 「ふ~ん、ふ~ん・・」 と大人の対応を取っているべし。しつこい場合のみ正当防衛の範囲内で応戦すべし。ただし、相手が自分と同程度の山歴の場合は情け容赦なく戦ってよし。それは楽しい思い出になること間違いなし。 67才は言っていた。「山はいいですね、こんな行きずりで親しくなれる趣味は山しかないですよね。」 同じ苦労と感激を共有しているからだろう。 朝日連峰はガスで視界の利かない日が多いらしい。今回は朝のうち小雨、のち高曇り、たまに晴れで視界は遠くまで良かった。これだけでも大変ラッキーなことらしい。冬の多雪と夏の日照時間の短さが標高の割に残雪の多い理由だろう。 18きっぷの残りで山形、仙台、福島、郡山、黒磯、宇都宮、新宿と乗り継いでいった。山形~仙台間は蔵王連峰の北を横切って行く楽しいローカル線の旅だった。ここいら辺の人は大震災の折さぞ怖い思いをしただろう。郡山~黒磯間は那須連峰の麓で良い景色だった。 反省2・・ 列車で遠方の山に行くときは駅弁のうまいヤツを食べるべし。米沢牛弁当を食べなかったのは悔いが残った。 |