H23年夏  南アルプス 聖岳


2011年の夏山はどこへ行くかで意見が割れていた。同行者は聖〜上河内〜茶臼縦走を主張して譲らない。しかし今年は台風6号で静岡側、信州側それぞれの林道が土砂崩れで不通となり、南ア南部で100名程の登山者が取り残される事態になった。信州側は2〜3日で復旧したが8/10も集中豪雨で不通になっている。南アは山が深いのでこういうことは時々あり、僕はアプローチの短い鳳凰、八ツあたりに気持ちは傾いていた。あるいは上信越、北関東、東北の山に行ってみたいと思うようになっていた。5月のアイ駒に登って魅せられてしまったのだ。運転をしない同行者はイヤそうにしながら 「任せる」 と言う。8/11、22:00頃八王子から高速に乗る。双葉SAでケータイで天気図をチェックして最終判断とする。

太平洋高気圧が弱く小さな台風もうろついてるゲリラ豪雨ありのパターン。しかし僕はここへ来て何となくヤル気になってきた。ヤバかったらとっとと引き返す条件で便ヶ島まで行ってみることにした。

駒ヶ岳SAで仮眠して、飯田ICから矢筈トンネルを抜け秋葉街道を南下。武田信玄は12月の寒い時期この近くを通って浜松の家康を攻めている。上島からダート混じりのところどころ落石、陥没のある林道を24キロ走る。おっかなくて20キロも出せない。この慣れない林道走行も気持ちを後ろ向きにさす要因の一つだった。飯田からタクシー使うよりレンタカーで割り勘にした方がだいぶ安いし自由がきくのでそうしたが、林道が不通になったら出せなくなる。


8/12 便ヶ島 〜 聖平


薊畑より笊ヶ岳(左)、布引山(右)
朝7:30、便ヶ島に着いた時は夜行ドライブですでに終わった気分になっていた。聖平への登りは 「しんどい」 を連発していた。天気は良かった。原生林が綺麗だった。予報だと明日午後は悪くあさってから安定するという。クマよけのベルをキンコンカンコン鳴らしながら登る。7時間程で聖平到着。例のごとく僕はテント、同行者は山小屋。

8/13 聖平 〜 聖岳往復

朝5:00出発。 午後は崩れそうなのでとっとと登ってさっさとズラかる作戦で行く。7:40頃聖岳登頂。ついに念願の南アの3000m峰14座完登! 南ア以外では立山と御嶽を残すのみとなった。赤石岳の展望は空気の透明度が低くイマイチだった。奥聖岳まで往復、往路を下山する。風が強くなってきた。地図に危険マークのついているガラ場を延々と下るが浮き石を踏み2回転んでしまった。2度目のときは急斜面を滑落しそうになったがすぐ止まり怪我はなかった。ヤバヤバ・・ 運が良かった・・


兎岳

聖岳の一角

上河内岳

たぶん真ん中の高いやつが光岳
小屋のテレビで天気予報に見入る。台風ならまだしも最近のゲリラ豪雨はいつどこを襲ってくるか分からない。現に10日は林道が不通になっているので車を出せなくなるのは恐怖だった。しかし明日以降の予報はまあまあで嫌な予感は全くしなくなった。 「行ってみますか・・」 となった。

お盆ということもあって指定地はテントでいっぱいで、隣近所と経歴話に花が咲く。もちろん仕事の経歴ではなく山の自慢話である。冬の赤岳に登り北岳バットレス第四尾根を登ったという30代位の男性がいた。自分はヨーロッパ・アルプスへ行ったと言えばいい勝負になるがキリが無くなるのでやめといた。ぼちぼち晩飯の準備をしないと暗くなり面倒だ。もう一人60代の男性、静岡へ来るまでバスが運休なのを知らず、金谷から大井川鉄道で迂回して井川から歩き、途中オートキャンプ場で野営して来たという。ちょっと笑える武勇伝だった。


8/14 聖平 〜 上河内岳 〜 茶臼小屋

5:00出発。僕はテントでよく眠れたが同行者は周りのいびきであまり眠れなかったという。幸い今日は短い行程なので大丈夫だろう。しばらく樹林帯を行く。意外と森林限界は低い。聖岳と違って人は少ない。上河内岳の二重山稜は天国みたいなところで、同行者曰く黒部源流に似ているとのこと。聖、赤石、悪沢の展望は文句なし、天気も最高にいい状態になった。冬の北岳、マッターホルン、表銀座等、そのたびごとにここが世界一美しい景色などと思ったが、やはり今見ている景色が世界で一番なのだ。とても単純な比較などは出来ない。やっぱしここ来て良かった・・ 聖に登れて終わった気分になっていたので、さっさとヤバイ林道脱出して温泉に浸かりたいと思っていた。何となく癪だが同行者に感謝だ。やっぱここ来なきゃダメでしょ・・


上河内岳

南ア南部からの富士

すごく綺麗

まるで天国

亀甲状土

ミネウスユキソウと思うがエーデルワイスそっくりな個体。

亀甲状土より

ガス湧く稜線
僕たちのもう一つの興味ははたして南ア南部に山ガールはいるかということだった。2006年すでに涸沢にはいたが南アには山ガールというよりハイパー山女(推定30代)が一人いただけだった。まさに中高年オジサンオバサン天国だった。
さて今年は・・ うひょっ! いるっ! 数は多くないものの茶臼小屋から一日で光まで往復するオニ山ガールが生息しているではないか! 僕たち軟弱中高年は真似しようものなら足が壊れる。ムリムリムリ! どーぞ先行って下さい。
上河内岳中腹より聖岳3013m。きのうとうって変わって空気の透明度抜群。適度にガスがかかっている。

茶臼小屋の指定地は満杯で、せっかくテント持ってきたのに小屋泊まりを余儀なくされたグループがいた。聖平、茶臼小屋とも水が豊富なのは有り難い。

8/15 茶臼小屋 〜 易老岳 〜 便ヶ島

6:00出発。茶臼岳は森林限界を超えているが空気の透明度低く展望イマイチ。しかしきのうは一番おいしいところでガンガン晴れたのでもう大満足なのだ。樹林帯に入りアップダウンの少ない稜線を行く。草原が点在している。ガスッてきたので仁田岳はパス。このあたり軟弱登山者はほとんどいない。1日で聖往復して茶臼小屋、翌日光往復して易老渡という恐ろしい中高年(の中でもハイの方)2人組もいた。そんなに歩いてちゃんと景色見てるのだろうか? 易老岳から易老度は標高差1500m。軟弱登山隊にはつらい下りだった。14:00頃便ヶ島着。

遠山郷の温泉に寄ったがイマイチだった。帰りは高速の渋滞を嫌って一旦飯田に出て、伊那市、高遠、杖突峠と武田信玄のルートを逆に走り、柳沢峠を越えて丹波山村の温泉に入り直した。素直に高速の渋滞ハマった方が間違いなく速かっただろうが、久々この温泉に入りたかった。

 

home page     戻る     次へ